自己破産・非免責債権について

2020年5月11日

自己破産手続において、最終的に免責許可決定を受けることができた場合でも、一部の債権については免責の効力が及ばないとされています。免責の効力が及ばない債権を、『非免責債権』といいます。
今回は、非免責債権についてご説明させていただきます。

どのような債権が非免責債権になるかは、破産法253条1項1号ないし7号に定められています。

① 租税等の請求権(1号)

・住民税、国民健康保険税、自動車税などです。

② 破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権(2号)

・「悪意」によるものが対象となります。3号に該当する場合を除き、故意に基づくものは免責の対象となります。

③ 破産者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(前号に掲げる請求権を除く。)(3号)

・例えば、重大な過失に基づき発生させた交通事故の人身損害賠償などです。

④ 次に掲げる義務に係る請求権(4号)
イ 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ハ 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
ニ 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
ホ イからニまでに掲げる義務に類する義務であって、契約に基づくもの

・4号により、婚姻費用・養育費などは免責の対象とはならないことになります。

⑤ 雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権(5号)

・個人事業主に対するものに限られます。会社が破産した場合、会社は消滅してしまいますので、請求は不可能となってしまいます。

⑥ 破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを知っていた者の有する請求権を除く。)(6号)

⑦ 罰金等の請求権(7号)

以上のような非免責債権については、たとえ自己破産手続により免責を受けることができた場合にも、支払義務はなくなりません。
非免責債権について債権者から請求等を受けた場合には、個別に支払方法等について債権者と話し合うなどして解決を図る必要があります。

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