滞納家賃の回収方法について②

2020年6月01日

今回は、滞納家賃の回収方法として考えられる方法のうち、③裁判(民事訴訟)、④即決和解について解説いたします。

〇裁判(民事訴訟)

裁判(民事訴訟)とは、原告(賃貸人)の求める内容(滞納家賃の請求)について、裁判所が当事者の主張を聞いたうえで法律的、強制的に解決する手続のことをいいます。

民事訴訟は、支払督促などに比べると当事者にかかる負担は大きいですが、判決が出れば強制執行をすることが可能となりますので、特に当事者に争いがある場合にはこの手続を利用することが有効といえます。

もっとも、原告(賃貸人)に対する負担の大きさゆえ、例えば滞納家賃の額が少額の場合は、かえって民事訴訟や強制執行のために要する労力・費用のほうが高くなってしまう可能性もあります。

なお、請求する滞納家賃の額が60万円以下の場合は、『少額訴訟』という制度を利用することができます。少額訴訟とは、原則として1回の審理で証拠や証人を調べ、判決を出す手続のことをいいます(通常の民事訴訟では、被告が請求内容を争ったりした場合、複数回の期日が開催されるのが通常です。)。
少額訴訟の判決に対しては、控訴が禁止され、簡易裁判所に対する異議の申立てのみが認められます。

〇即決和解

即決和解とは、当事者間で話し合いが成立し、その内容に問題がない場合に、成立した内容のとおりに裁判所で和解するという手続のことをいいます。

即決和解で成立した内容に違反した場合、強制執行をすることが可能となります。そのため、一般論としては当事者間で合意書等を作成するよりも支払いを確保しやすくなるというメリットがあります(当事者間で合意書等を作成しただけでは、合意書等の違反があった場合に直ちに強制執行をすることができません。)。
もっとも、即決和解は、あくまでも当事者間で話し合いが成立している場合に利用できる手続ですので、そもそも当事者間で話し合いができに、合意することができないような事案では利用することができません。

前回、今回と解説させていただきましたとおり、滞納家賃回収のためには多くの方法が考えられます。そのため、当事者としては、事案に即した適切な方法を選択・実施しなければなりません。
しかし、一口に「適切な方法を選択・実施する」といっても、実際は簡単なことではありません。この点、弁護士であれば、事案の性質や各方法の特徴などを踏まえ、適切な方法を選択・実施するお手伝いをすることが可能です。
賃料の回収方法についてお悩みの方は、一度、当事務所にお問合せください(建物明渡・滞納家賃回収業務につきましては、つくば市・土浦市を中心に、基本的には茨城県内及び近隣都県の事案に対応しております。)。

お知らせ一覧へ