滞納家賃の回収方法について①

2020年5月31日

滞納家賃の回収についてお悩みの大家様は多いことと思います。実際に、私も、これまでに家賃の滞納に関する多くのご相談、ご依頼をお受けしてきました。

以下では、賃借人や保証人が約定の期日までに家賃を支払ってくれなかった場合、どのような方法で家賃の回収を図っていくべきかについて解説させて頂きます。

〇家賃の回収方法

滞納家賃の回収方法としては、
①口頭での請求
②請求書の送付
②支払督促
③裁判(民事訴訟)
④即決和解
などが考えらえます。

これらの方法は、それぞれに長所と短所があります。したがいまして、大家様としては、事案に応じて最も適切なものを使い分けることが重要です。

〇請求書の送付

請求書の送付とは、家賃を滞納している賃借人や保証人に対し、任意の支払いを求める書面を送付する方法です。この方法は、滞納家賃の回収方法としては最も簡便な方法の一つということができます。

しかし、請求書の送付自体に、強制執行を可能とするような効果はありません。
したがいまして、賃借人らが請求書に従わなかった場合には、他の方法を検討しなければならないこととなってしまいます。

〇内容証明郵便とは

請求書の送付などに関連して、相談者様から、「内容証明郵便とはどういうものですか?」といったご質問をお受けすることがあります。
内容証明郵便とは、『いつ、いかなる内容の文書を、誰から誰あてに差し出されたのか』ということを日本郵便株式会社が証明してくれる、という郵送方法です。請求書に記載された内容は証明してくれるものの、その内容の真実性までを証明してくれるものではありませんし、内容証明郵便を送付したことで特別の法的効果が発生するわけではありませんので、ご注意ください。

〇支払督促

支払督促とは、債権者(賃貸人)の申立てにより、裁判所書記官が債務者(賃借人・保証人)から事情を聞くことなく債務者に支払いを命じる処分のことをいいます。
支払督促手続において得られる仮執行宣言付支払督促は『債務名義』となりますので、賃借人らが支払いをしない場合には強制執行(財産の差押)をすることが可能となります。

支払督促は、最終的に強制執行をすることが可能となる一方で、同様に強制執行が可能となる他の手続(次回に触れる民事訴訟など)と比較すると、簡便な手続ということができます。

ただし、支払督促では、手続中に賃借人らが異議を申し立てた場合には、通常の民事訴訟手続に移行することになります。そのため、賃借人らが異議を申し立てることが予想される事案などでは、あまり効果的な方法とはいえません(支払督促を申し立てても、賃借人らの異議申し立てにより通常訴訟へ移行してしまいます。)。

民事訴訟、即決和解については、次回のコラムにて解説させて頂きます。

お知らせ一覧へ