自己破産・裁量免責について

2020年5月09日

自己破産手続において免責不許可事由(破産法252条1項各号)が認められる場合、原則として免責は許可されません。ただし、例外的に、免責許可事由がある場合にも裁判所の裁量によって免責が許可される場合があります。これを、『裁量免責』といいます。

裁量免責については、破産法252条2項に規定があります。
〈破産法252条2項〉
前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

つまり、破産法252条2項は、免責不許可事由に該当する事由がある場合(例えばギャンブルや浪費によって過大な債務を負担してしまったような場合)であっても、裁判所の裁量によって免責許可決定(裁量免責)をすることができることがあるとしています。

それでは、どのような場合に裁量免責が認められるのでしょうか。

破産法252条2項が「破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるとき」と規定しているとおり、様々な事情を考慮したうえで、裁量免責の許否が決せられることになります。
具体的には、主に以下のような事情が考慮されるとされています。

①破産者側の事情
・免責不許可事由の具体的内容、程度
・支払不能に至った原因
・支払不能時から現在に至る経過
・破産者の反省の有無・内容
など

②債権者側の事情
・債権者の属性
・債権の内容
・債権者が被る不利益の程度、内容
・免責についての意見
など

③社会政策的観点からの事情
・破産手続以外の救済手段の有無(破産免責による経済的更生の必要性)
など

なお、私の破産申立代理人及び破産管財人としての経験からは、実務上の運用として、結果的に裁量免責が認められない事案というものはほとんどありません。破産法上の免責不許可事由が認められる場合であっても、本人が免責不許可事由に該当事実について深く反省していること・破産者の経済的更生のためには破産免責が必要であることなどが確認出来れば、よほどのことがない限りは裁量免責が認められるものと思います(ただし、実務上、免責が不許可になる可能性が認められる事案については、当初から破産ではなく個人再生等の利用が選択されることが多いという点には留意する必要があります。)。

つくば市の内田法律事務所では、免責不許可事由の有無及び内容をお聞きした上で、裁量免責の可能性、裁量免責が難しいと思われる場合には破産以外の手段(個人再生等)による解決のアドバイスなどをさせていただいております。
自己破産をお考えの方、自己破産で免責が認められるかどうかについてお悩みの方は、初回相談無料で対応いたしますので、つくば市の内田法律事務所までお問合せください(法テラスの各種援助によるご相談にも対応しております。)。

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