建物賃貸借の問題② 不動産の明渡手続

2020年4月27日

前回のコラムでは、「賃借人が家賃を滞納しているからといって、勝手に鍵を交換してしまったり、私物を室外に出してしまったりすることは違法な『自力救済』として許されない」旨を解説いたしました。

それでは、家賃の滞納を続けている賃借人に対し、正当に物件から退去してもらうためには、どのような手続が必要となるのでしょうか。
 

家賃を滞納している賃借人は、賃貸借契約上の義務(賃料支払債務)を履行していないのですから、賃貸人としては債務不履行に基づき賃貸借契約を解除し、物件からの退去を求めることになります(ただし、家賃の滞納があっても、当然に契約が解除できるとは限りません。契約解除ができるのはどのような場合か、契約を解除するためにはどのような手続が必要かについては、また別の機会にご説明させていただきます)。

 

問題は、契約が有効に解除されたにもかかわらず、元賃借人が自主的に物件から退去しようとしない場合です。このような場合は、前回のコラムでお伝えしたとおり、『法律に則った手続を実行する必要』があります。

法律に則った手続とは、おおよそ以下のようなものです。

1 明渡請求訴訟の実施

賃貸借契約の解除後も元賃借人が物件から退去しない場合、裁判所へ建物の明渡しを求める民事訴訟を提起することになります。保証人がいる場合は、賃借人に対する訴訟と併せて、保証人に対して滞納家賃等の支払いを求める訴訟を提起することもあります。

明渡請求訴訟の提起後、1~2か月後に裁判期日(第1回口頭弁論期日)が開かれます。

貸主の請求内容について元賃借人側が争わない場合には審理は1回で終了し、1~2週間後に判決が言い渡されることになります。
これに対し、元賃借人側が請求内容を争ったりした場合は、第2回、第3回…と裁判期日が重ねられていくことになります。

なお、建物の明渡し等を求める民事訴訟を提起したことにより、それまでは全く対応しようとしなかった元賃借人も自身の立場を自覚し、判決の言い渡し前に自主的に建物から退去するというケースもあります。

2 強制執行の実施

元賃借人の中には、裁判所が物件の明渡しを命ずる判決を言い渡したにも関わらず、建物から退去しようとしない場合もあります。このような場合、賃貸人において上記判決に基づく強制執行という手続を取る必要があります。
適法な強制執行手続により、正当に物件からの強制退去を実現することができます。

 

当事務所では、これまでにつくば市・土浦市・牛久市及び近隣地域において、物件の適法な明渡しを実現してきました。賃借人の家賃滞納などでお困りの際は、ぜひお問合せください。

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